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DIALOGUE-1

<対談>最前線の現場から

みほん、きほん、てほん。

  • ⽣産管理部課⻑ 梅⽥ 敦史 H25.2入社

    現社長の兄から打診を受けて、銀行からウメダニットへ異業種転職。現在は生産全体のスケジューリングや生産管理、人事手配などを総合的に担当。
  • 縫製部 ⻑⾕川 理恵 H7.3入社

    高校卒業とともに入社し、縫製ひとすじ25年のベテラン。ウメダニットの中でも随一の縫製力を持つ屋台骨。現在はサンプル班の班長としてチームの取りまとめも行う。

1. 「見本」という最前線。

ー始めに、製造の流れや⻑⾕川さんの⼯程の中でのポジションを教えていただけますか?

梅田

全体の流れで⾔うと、営業がサンプル作成依頼をもらったら、まずはパタンナーがパターンを引いて、 編⽴(あみたて)で洋服の生地となる編地を編み立て、理恵さんのチームで縫製をして実際の製品の形のサンプルを作る。OKがでたら量産に⼊るというフローです。
理恵さんは⾒本班なので基本はサンプル専⾨で、最初のサンプルから携わってます。ですよね、理恵さん?

長谷川

はい。
その時に縫う順番だったり、変更を加えた箇所、難しかった箇所なども全部記録して、量産のチームやパタンナーにフィードバックします。

梅田

その時のタイムを元に⾒積もりだったり本⽣産に⼊るんですけど、理恵さんが何気なくすごい技を繰り出していることもあって…。量産のチームに「こんなキレイにできません」と⾔われることも。よく量産チームから質問されてますよね?

長谷川

「どうやったらこうなるの?」とか、それはよくありますね。あれ?普通にやったのになって。

梅田

もちろん量産チームも皆さんプロフェッショナルなんですけどね。たとえば、縫いの途中のアイロン掛けで背⾯のシルエットの美しさも変わってきたりするんですよ。そういった⼯程内のちょっとしたコツで仕上がりのグレードが変わってくるんです。理恵さんとしては、無意識に⾃然とやってるんでしょうね。
たとえばこの前のWRAPINKNOT(ラッピンノット)注1のジャケットだったら、裁断パーツはいくつくらいで時間はどのくらいかかりますか?

長谷川

裁断パーツは15くらいで、半⽇くらいだったかな?

梅田

それを設計図もまだない中で、図⾯から⽴体に仕上げていくわけですよね。パーツの⼀覧を⾒たら完成図がイメージできるわけですか?

長谷川

そうですね。

梅田

もう私にはわからない世界です。しれっと言ってますけど、本当にすごい職人さんなんですよ。

2. 技術も人ありき。「基本」をつなぐ人。

ー⻑⾕川さんは最初からずば抜けた技術をお持ちだったんですか?

長谷川

全然です。⼊社して12年くらい経って⾒本班に配属されたんですけど、その時に初めてロックミシンを触って、⽷の通し⽅すらわからなくて周りの⽅に聞いていました。

梅田

へぇ、理恵さんにもそんな時代があったんですね。どうやって今の技術は培われていったんですか?

長谷川

⾒て覚えたのもありますし、⾒本班で教えてもらったのもあります。私が異動してきた時に、59歳の⼤ベテランがいらっしゃって。詳しいパターンの⾒⽅とか縫い⽅とかを実際に実演しながら⾒せてくれたんです。

梅田

⾃分が退職する前に、残る⼈に技術を伝えて⾃分の代わりになる⼈を育成したかったんでしょうね。

長谷川

本当に何でも縫えるように難しいものまで教えてもらったので、「⾃分がいなくなってもいいように」と思っていたんだろうなとは感じますね。

梅田

じゃあ、⾒本班に入ったのは⼤きな転機だったんですね。

長谷川

でも実は、⾒本班に入るのはすごく抵抗があったんです。⼊社当時に、⾒本班の⽅からまだ図⾯の⾒⽅も何も分からない中で、いきなり「このベルベットのジャケットを縫ってください」ってお願いされたことがあって。すごく苦⼿意識があったんですよ。

梅田

そんな思い出があったんですね。

長谷川

だから私は後輩には教えられることは教えたいし、誰にどういう型を振るかもすごく考えます。

梅田

あぁ、そうか。普段、理恵さんが考えながら後輩に仕事を振ってる背景が分かりました。当時の経験があってのことなんですね。

3. ウメダニットの「お手本」。

ー最後に今後の課題や⽬標を教えてください。

長谷川

課題としては、個⼈的にはさっきも話に出た量産の時のことを考えて、どうやって効率よく安定した品質で作れるかを考えることですかね。

梅田

求められている最終形は変えちゃいけないので、その中でいかに500秒かかるものを300秒にするか、といったところですよね。

長谷川

すくいじゃなくてステッチでいいんじゃないかとか。ポケット⼀つをとっても、スラッシュなのか箱なのかパッチなのかでもパーツの数も縫い⽅も変わりますからね。

梅田

たとえば10年前と⽐較しての変化ってどうなんですか? WRAPINKNOTがスタートしたりもしましたけど。

長谷川

大変です(笑)。
WRAPINKNOTは創る側にも良い刺激になっていて、前半に出たジャケットでも、図⾯を⾒た瞬間にこれは難しいというのはわかりますからね。最初は「えっ」と思いますけど、実際に出来上がってみたら「やっぱりやって良かったなぁ」って達成感が湧いてきますよね。

梅田

完成した時に、できたて熱々の状態で「できました」って持ってきてくれましたもんね(笑)。
ウメダニットだからできる製品を届けていきたいですよね。

長谷川

この仕事が好きだからここまでやってこれたので、周りの⽅に技を伝えていくと同時に、この先も極めていくことで良い製品を⽣み出していきたいですね。

注1 … 2012SSシーズンより展開しているウメダニットオリジナルブランド。2021AWで10周年を迎える。

取材:株式会社ロケットスタートホールディングス

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