Sewing

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品質を決定づける縫製力

 品質は、編み上がった瞬間に決まるわけではない。仕立ての手加減、素材への理解、そして縫い目を意識させない精度。その積み重ねが、完成度を左右する。私たちにとって縫製とは、単なる工程ではなく、服を成立させるための最後の判断である。

01

力ではなく呼吸

 ニットの縫製は、いわば手加減の学問。布帛のように張って縫えば、編み地は戻り、糸は波打ち、違和感が残る。ニットは送ってあげなければならない。放っておけば天竺はくるくると丸まってしまう。袖の内側を縫うだけで、世界が一段難しくなる。そこに必要なのは、ただのミシン操作ではなく、素材の気分を読むことだ。

02

違和感を残さないために

 現場には、教科書に載らない工夫がある。ピンセットを使ったり、硬いスポンジテープで摩擦をつくったりして、丸まりを起こしながら送り込む。そうして縫い目は、あるべき場所へ静かに収まる。理想は、縫い目が意識されないこと。シンプルな服ほど、ごまかしが効かない。縫い目が「ある」と感じさせた瞬間、品質の物語は途切れてしまう。

03

判断まで含めて、縫製力

 私たちが言う「縫製力」とは、技術だけではない。製品への見識と判断を含めた総合力だ。伸びてほしいところにはリンキングを使い、ほどけのリスクを理解した上で、本縫いと糸のテンションで支える。仕様を守るだけでは均一にならない局面で、現場から提言が出る。作業ではなく仕事を。ニットという“定まらない素材”を、狙った寸法に、狙った縫い目で、均一に仕立てるために。その精度こそが、品質の八割を決めるから。

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